伝統芸能において、守破離という言葉がある。弟子が師匠から学び、やがて巣立っていくまでの行動を表した言葉だ。守破離を大人の学びに置き換えてみよう。どのように捉えられるだろうか。
- 守
この段階では基礎を学ぶことが重要だ。ルールや本質をとらえて、学ぶ。規則の中で型を守っていく。基礎を学ぶ段階では、型を守り模倣することが大切になる。型を守り模倣していくことで、基礎が出来上がっていく。人(師匠)の言うことを聞き、自分のものにしていくことが大切になる。基礎が出来上がり、自分のものとしてスムーズに振舞うことができれば、余裕が出てくる。余裕が出てくれば、次の行動を考え始める。次の行動を考えて動いていると、更に効率がよくなる。基礎が強固なものになり、型を自分のものにしていく。型を自分のものにする上で、適宜、見直すことが必要である。テストを受けて自分で確認することや、人からフィードバックをもらうことで、より一層、自分のものになっていく。
- 破
基礎が強固なものになり、次の行動を考えて動いていると、自分に合った行動に変えた方が更に効率が良くなるのではないかと考え始める。今まで実践してきた学び方ではなく、型を打ち破った、新しい学び方や規則を発見していくことができる。基礎を学び、自分に合った型を作り出したことで、学んだ型を打ち破り、新たな型を作り出すことができる。この段階では、自分一人でやっていく自信が出てくる。人と同じではなく、自分の型を利用して学ぶことで、成果を出す方法を編み出している。既存の型を打ち壊して、その先の世界に飛び出したい気持ちが高ぶっている。
- 離
新たな自分の型を作り出したら、自分の型を使って学び始める。独り立ちをして、今度は自分が他人を教える立場になる。既存の方からは離れて、独自の道を歩み始める。そして、その型は別の分野にも応用できる。本質を見失わずに、違う分野で応用することにより、また新たな型を生み出すことができる。違う型を身につけることで、人間としての幅が広がっていく。
まずは基礎固めをする。そこから自分にあった方法を生み出す。そして新たな型をつくる。新たな型を作り出し、独り立ちする。他人にも教える立場になり、既存の型から離れて広めていく。他の分野にも応用して、新たな型を作る。学びの方法として、守破離に沿うことは理にかなっている。