恐怖
「人は死にたがっている」、伊坂幸太郎著作 グラスホッパーで自殺屋が言っていた。この一言にピンときた。人は死に向かって生きている。死ぬことは恐怖である。だが、恐怖を克服するために人は学ぶ。恐怖を感じたときに、そこから学ぶことは多い。恐怖を感じるのは、肉体や精神が痛めつけられることを想像したときだ。自分が肉体的にも精神的にも傷つかないようにするには、どうすればいいか考える。考えた先で、回避行動をとる。恐怖を感じた時の回避方法を、どのようにとるのかを学んでいる。
恐怖を感じた時に回避行動を取るのは、生きることにつながる。生きたいからこそ、回避行動をとる。そうしなければ、死が待っている。いずれ迎える死が、目の前に来てしまう。自分が生きていく時間がなくなる。自分の死に対して率先して向かっていく態度は、生きることとは逆方向だ。だからこそ恐怖から学ぶことは、生きることに直接つながっている。恐怖を感じた時、そして生きようと思ったときに、自分の意思、判断、生命力が問われる。そこから学ぶことは、人生にとって大きい。
組み合わせ
何かと何かを組み合わせると、相乗効果が生まれる。俳人の俵万智さんは、子育てから老齢の親を見る移り変わりと、光の当たるところから色を変えていく紅葉との対比で歌を詠んだ。
人生の予習復習 親といて子といて順に色付く紅葉 (俵万智)
二つのことが対比される中で共通の部分を探す。共通のことをきっかけとして、新しい手法を生み出す。新しい手法は、より良くなっている。
組み合わせを考える時、対比することとしては、経験を頼りにしている。自分の経験の中で対比させ組み合わせたり、組み合わせたことを評価したりしている。良くなっているという評価も経験と照らし合う中で行われる。経験が多ければ多いほど、組み合わせの数や評価の基準も多くなるということだ。自分の中の経験を増やしていく。組み合わせの数を増やし、そこから学ぶ上では大切なことである。
対比は時空を超えて行える。今と昔、今と未来。それぞれの共通点をあぶり出し、共通点をきっかけに、構成し直す。それは未来の自分をかたどってくれる。経験を重ねて組み合わせて、学んでいく。組み合わせの中から、新しい学びを探していく。見つけた学びを実践していく。実践した学びを評価していく。実践して評価したことが、新たな経験として培われる。この循環が人生を作っていく。